第13章 特別隊首会
静かに小さく舌打ちをした琉生は山本を見る。
「何スか?」
その声は興味なさそうに発せられた。
「真面目にやらぬと退場させるが?」
「そんなに睨まなくてもわかってるっスよ」
やれやれと云う顔で女隊士の手を離し、最後にパチンとウインクをすると、女隊士達の黄色い声援を浴びながら琉生は自己紹介を始めた。
「御影琉生!前配属先は三番隊!趣味は女の子とお茶すること!デートに誘うこと!特技は桜桃のヘタを舌で結べること!あとマッサージが上手いこと!あこれ女の子限定ね!好きな女の子のタイプは…」
「もう良い。ハァ…どうしてお主はいつもそうなのじゃ」
「いつもって?」
「誰もお主のことなど知りとうない」
「えー総隊長酷くないっスかー。やっとオレの魅力が女の子達に知られるチャンスなのに!」
その瞬間、琉生は背筋をぞくりとさせる。
「(殺気?それも突き刺さるような…一体誰が…)」
視線を辿る先にいたのは…
「……………」
金の瞳に怒りを宿した詩調が、琉生を静かに睨みつけている。
「(怖ッ!?)」
身体中に突き刺さる殺気。瞳孔を開き、瞬きせずにこちらを見つめる詩調の表情は…めちゃくちゃ怖かった。
「すぐ戻るっス。」
あまりの恐ろしさに身体を恐縮させた琉生は足を揃えてピンと立ち、敬礼した。
瞬歩で二人の元に移動する。
「歩く18禁男が。」
琉生は聞こえないフリをしつつも、内心では詩調を怒らせたことに反省していた。
「(調子に乗りすぎた…!)」
「そのうちあんたも粗大ゴミに出してやる」
「詩調チャン言い方が怖い!!」
「ここで殺れないのが残念だわ」
「(冗談じゃねえ…っ!!)」
「るーたんのお馬鹿さん♪」
命の危険を感じた琉生に霙が笑顔で毒づいた。
「続いて三席!」
ピリついた空気の中、穏やかな笑みを湛えて現れたのは黒髪の少年だ。彼は口許を緩め、落ち着いた口調で言う。
「初めまして。流祇流雅です。前配属先は三番隊。零番隊では三席を務めています。改めてよろしくお願いします」
礼儀正しい雅は手を胸に添える。長い前髪で隠れた両目は感情の色が見えず、口許だけでは表情を読み取りづらい。
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