第12章 零番隊復活
チラリと横を見ると、ゴゴゴ…ッと怒りのオーラを漂わせる流歌がいる。
「勝手に持ち込みましたね!?お茶会の場に相応しくありません!!没収です…!!」
「あいたっ!」
ペシン!っと京楽の手から徳利をはたき落す。
「これも没収!」
「あぁ!僕のお酒〜!」
「泣いてもダメ!」
しくしくと嘘泣きをする京楽と叱る流歌を見て雅は苦笑する。
「そんなこと言わずに流歌も一緒に飲みましょうよぉ〜」
「(乱菊さんまで酔ってる…)」
「ほら、流歌君の好きなお酒も用意したからさ!」
ゴトンッと一升瓶が置かれる。
「『柊』」
「!」
「コレ手に入れるの大変だったんだよぉ〜?『柊』は高値が付いて簡単には買えない程の幻のお酒だ。せっかく流歌君のために買ったんだけどなぁー」
「でも…」
『柊』は酒好きなら一度は飲んでみたいとされる幻の名酒だ。その味は今まで味わったことのない素晴らしいもので、今では相当な高値で売買されている。
「(『柊』なんてもう何年も飲んでないな…)」
流歌は少し離れている席に座る蒼生に視線を送る。それに気付いた蒼生が微かに頷いた。
「じゃあお言葉に甘えて」
「そうこなくちゃ♪」
『柊』を注いでもらい、一気に飲み干す。
「おお〜!いい飲みっぷり!」
「(うわ…めちゃくちゃ美味しい。)」
「確か高峰君も好きだったよね。
ささ、グイッといっちゃって!」
「どうも」
京楽に注いでもらって蒼生も一気に飲み干した。
「もっと飲みましょ♪」
「いやいやそんなに飲めませんって」
空になった徳利に追加の酒を注ごうとする乱菊を止める。すると少し遅れて黒髪の少女がやって来る。
「朽木副隊長!」
断りを入れてから少女の元に駆け寄る。
「遅くなった」
「お待ちしてました」
「今日は宴会を開いてるのか?
茶会だと聞いたのだが?」
「いえ…茶会です。それよりもほら!お兄様がいらしてますよ」
「兄様…!」
ルキアは嬉しそうに白哉に駆け寄った。
「いい思い出ができた…」
流歌は微笑んだ。
next…