第11章 太陽の木漏れ日
「“神崎が冴島を襲うなんて絶対にあり得ない”」
「!」
「そう言ってた」
「……………」
「やっぱりすげぇなお前は」
「何も凄くないですよ」
「特に浮竹がベタ褒めだったぞ。お前はちょっとやそっとの事じゃ決して屈しないとても勇敢で優しい奴だってな」
「!」
「…あの花、草鹿と植えたんだろ?」
「よくご存知ですね」
「あいつが嬉しそうに言ってたからな」
「そうでしたか」
流歌は花壇の方を見つめる。
「今更許してもらえるとは思ってない」
身体をこちらに向け、日番谷は頭を下げる。
「俺はお前を深く傷つけた。勝手にお前に失望した。最低な態度でお前を苦しめた」
「……………」
「何の証拠もねぇのにお前を責めて犯人扱いした。悪いのは冴島の本性を見抜けなかった俺だ。自分を情けなく思う。本当に…すまなかった」
「(不思議だ。)」
さっきまでこの人を
あんなにも嫌っていたのに
彼の誠意ある謝罪を聞いて
何故だか…許す気持ちになる
「頭を上げてください」
この感情が何なのかは
分からないが
今はただ
彼の精一杯の謝罪に免じて
私も素直になろうと思う
「もう…許しますから」
私は彼を許そう───。
「……………」
頭を上げた日番谷はまだ申し訳なさそうにしている。
「隊長は何も悪くありません。全ての元凶は冴島桃香です。だから謝らないで下さい」
「…許してもらえるのか?」
「僕は信じてくれただけで十分です。それに…隊長がただの平に頭を下げて精一杯の謝罪をしてくれてるんです。僕もそれに応えるべきだと思いました」
スッと手を差し出す。
「ありがとうございます」
差し出された手をじっと見つめる。申し訳なさそうに小さく笑んだ日番谷は、その手を握った。
「…すまん」
「僕の方こそすみませんでした」
「何でお前が謝るんだよ」
「隊長に対して失礼な態度ばかり取りました」
「それは俺が悪かったからだ。お前が謝る必要は一切ねえ」
「では…お互い様ということで」
「そうだな」
.