第11章 太陽の木漏れ日
【四番隊舎】
「はむはむ!むぐむぐ…はむっ!」
「……………」
「もぐもぐ…ゴクンッ。ぱくっ!はむはむ…もぐもぐも…うっ!ゴホッゲホッ!!…ぱくっ!」
「(なんだ…この光景は…)」
雅と別れて病室を訪れた流歌は、強烈な甘い匂いに顔をしかめた。彼女の目の前にはテーブルに高く積まれたお菓子の山々を無言で食い貪る霙の姿が映る。
「(…暴食怪獣ミゾレゴン…)」
あまりの衝撃に開いた口が塞がらない。
「(デブる。)」
間違いなく、デブる…。
「霙」
「もぐもぐ…はむっ!」
「……………」
「もぐもぐ…。」
声を掛けるも、霙は食べることに夢中で気づかない。
「(え…何コレ。)」
誰がこんなに大量のお菓子を与えた?
というか…無心で食べ続ける姿が恐ろしい
「ミゾレゴ…ゴホンッ。霙…!!」
「むぐぅっ!?」
少し強めに叫ぶと、身体をビクッとさせた霙が驚いて口の中にあるお菓子を喉に詰まらせる。
「ゴホッ!ゲホゲホッ!」
「(ミゾレゴン…退治せねば。)」
「ひぃ!?梨央ちゃん!?」
流歌を見た瞬間、霙の顔は一気に青ざめる。そしてお菓子の山を目でハッと見て、慌てて弁解を始めた。
「ち、違うの!これは…その…あれだよほら!」
「どれだ?」
「…………。あれ…。あれなんだよ…。えーと…不思議なことにね!霙の胃袋は空腹だと危険信号を鳴らすの!」
「どんな風に?」
「…………。こ、こんな風…。ピコン、ピコン、ピコン…って…。だからね!大量のお菓子を摂取しないとダメなんだよ!」
「……………」
「な、何か食べた方がいいよー!って教えてくれるの!だからね…っ!その…えっと…だからあれがそれなんだよ…っ!」
「そのお菓子、どうした」
「ひっ!?」
ゴゴゴ…ッと静かな怒りを表す流歌の低い声に霙は涙目になる。
「どこから持って来た」
「零番隊舎の…霙の研究室から…」
「後は?」
「談話室にあるお菓子ボックスから…」
「なるほど」
「えっと…梨央…ちゃん?」
彼は腕を組み、霙を静かに見た。
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