第11章 太陽の木漏れ日
【十番隊舎】
「桃香ちゃん!何か手伝えることないかな?」
「お手伝いしてくれるの…?」
「もちろんだよ!」
「オレ達で良ければ何でも言って!」
机に向かっていた桃香の周りを男達が群がる。猫を被っている桃香は内心では鬱陶しいと思いながらも表情には出さず、可愛く笑んでみせた。
「わぁ〜!ありがと!みんな桃香の為にそこまでしてくれるなんて嬉しい❤︎」
その笑顔に心を矢で射抜かれた男達はデレっと表情を緩め、鼻の下を伸ばす。
「桃香ちゃんはまだ安静にしてないと!」
「神崎に傷つけられた身体なんだからもっと休んでていいんだよ!」
「(…ほーんと…家畜だわ。馬鹿みたいに忠順で…阿呆みたいに尻尾を振って…見ていて反吐が出る。)」
「桃香ちゃん!何すればいいんだ?」
「そーだなぁ…じゃあコレとコレを各隊舎に持ってってもらってもいいかなぁ?」
「お安い御用だよ!」
「やーん!頼まれごとを聞いてくれる人って…ス・テ・キ❤︎」
「っ、オレも!オレも手伝うよ!」
「俺だって桃香ちゃんの為に役にたつよ!」
わらわらと群がり、可憐な少女に操られている人形達は我先にと手を挙げる。
「じゃあじゃあー…ココのとこ、一緒に見てもらえると桃香すごぉーく嬉しいなぁ❤︎」
「も、もちろん!」
「ふふ❤︎隣に座って?❤︎」
「いいの!?」
「うん。だって桃香、寂しいんだもん」
「わ、分かったよ!」
「えへへーありがと❤︎」
完全にデレ切っている男達。そして手伝う機会を与えられなかった男達は悔しそうに自分の席へと戻って行く。
「チッ…あいつら羨ましいぜ。……ん?何だコレ?置き手紙?」
一人の男が自分の机に置かれたメモを手に取り、内容を読む。
【実はお願いがあるの❤︎貴方のお友達と一緒にこの場所まで来て欲しいな❤︎手伝ってくれたら…たぁーっぷり奉仕しちゃう❤︎】
「こ、これは…!」
文字の下には指定の場所が書かれている。
「ほ、奉仕…」
どんな想像をしたのか、男はだらしなく鼻の下を伸ばす。そして手紙を受け取った男は仲間達を誘い、他の隊士には内緒で、指定の場所までこっそり…向かったのだった。
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