第11章 太陽の木漏れ日
連れて来られた場所に見覚えがあった。
古びた倉庫には沢山の蔓が伸びている。
「(ここって…)」
霙は眉を顰めた。
「(梨央ちゃんが暴行された場所…)」
ドクンッと心臓が嫌な音を立てて鳴る。
「ほら入れ」
ドンッ!
「痛ッ!」
重苦しい音を立てて開かれた扉。中は真っ暗で何も見えず、窓からの光が僅かに倉庫の中を照らしていた。
「もぉー!女の子を乱暴に扱わないでよね!怪我したら莫大な治療費請求してやる!」
男に背中を突き飛ばされ、地面に伏せるように四つん這いに倒れ込んだ。
ガチャン!
「っ、」
キッと睨み付けると、扉に鍵を掛ける音が妙にハッキリと聞こえ、霙は息を呑む。
「(これは…もしかしなくても…)」
頭の中で危険信号が鳴り響く。
「…最低なことするんだね」
「悪く思うな」
「これも桃香ちゃんの為なんだ」
「(ケッ。操り人形のくせに。)」
「あの野郎の味方をするお前がいると桃香ちゃんが悲しむ」
「だから?」
「目を覚まさせてやるよ」
「お前だって分かってるんだろ?本当に悪いのは神崎で桃香ちゃんを襲った強姦魔だってことをさ」
「ハァ…くっだらない」
「あ?」
「何だと?」
「くだらなさ過ぎて反吐が出る」
霙は冷たい瞳を男達に向ける。
「あのねぇ…あなた達こそ目覚ましたら?」
「どういう意味だよ…」
「あの人を悪人だって決めつけるなら冴島さんは善人だとでも言うの?それさー聞いてる側としてはすんごい馬鹿らしいんですけど」
「!!」
「所詮あなた達は夢に囚われた住人。冴島さんが糸を垂らして操ってる人形だよ。どうして簡単に堕ちちゃうかなー…ハァー…」
心底呆れるように深い溜息を吐いた。
「てめぇ!俺達を馬鹿にしてんのかよ!」
「馬鹿にするしかないじゃん。だって本当に馬鹿なんだから」
「お前…その口を閉じねぇと…」
「もうどっぷり冴島さんの毒牙にかかって現実に戻れなくなってる。あーあー。だから無能な家畜は低脳で嫌なんだよねぇ」
あまりの毒舌に男達は怒りで顔を歪める。
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