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✱でもきっとハッピーエンド✱【BLEACH】

第8章 カタウデの少女




「(…ようやく分かった。何で彼女に『死にたがり』という言葉を使ったのか。)」



詩愛は笑みを浮かべている梨央を見た。



「そう貴女…“そういうタイプ”なのね…」



小さく呟いた言葉は誰にも聞こえない。



「(“自らの命を犠牲にして守ろうとする…)」



詩愛は憐れむような視線を送る。



「今でも死神をやめたこと後悔してますか?」



「もう未練はないわ。例えもう一度、死神の道を歩むことになっても、同じ事を繰り返すわ。あの人が死神で在り続ける限り、あたしも死神としてあの人の背中を追い続ける。だから…これで良かったのよ」



「そうですか」



“未練はない”



そう口にした彼女の顔が



少しだけ悲しそうに見えるのは



きっと気のせいではないだろう




「あの華月さん、一つ宜しいですか?」



「何かしら?」



あの時に感じた違和感の正体をぶつける。詩愛が着ている服の片腕に視線を落とした。




「片腕はどうされたんですか?」



その質問に蒼生達も驚いた顔をしている。詩愛の後ろで様子を窺っていた村長もまた、驚いた表情を浮かべていた。



「…気付いてたのね」



「違和感を感じたので」



静かに笑んだ詩愛は、片袖だけを脱ぐ。



「!」



片腕は、無かった──……



「不躾なことを聞いてすみませんでした」



「謝らないで。それにね、片腕を失っても生活に支障はないの。もう慣れっこよ」



頭を下げて謝罪する梨央に、詩愛は軽く首を振って微笑を浮かべる。



「今日はこれで失礼します。貴重な時間を我々の為に作って頂き有難う御座いました」



「話は全て聞けたかしら?」



「十分です。真実が解って安心しました」



立ち上がった梨央に霙は持っていた隊首羽織を渡す。



「はい!梨央ちゃん!」



「ん。ありがと」



受け取った羽織に袖を通す。



バサッ



「!」



詩愛の目に映ったのは



“零”の文字だった───。



「じゃあ帰ろうか」



「ま、待って…!」



帰ろうとすれば詩愛に呼び止められ、梨央はゆっくりと振り返る。


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