第8章 カタウデの少女
「やっぱりな」
「被害者って…本当なの?」
「じゃあ華月さんが護廷を辞めた本当の理由って…」
「正しくは脱退“させられた”だよ」
「!」
「彼女は体調不良じゃなく本当は冴島桃香の取り巻き達による過度な嫌がらせのせいで護廷を追い出されたんだ」
「そうだったんだ…」
「まんまと悪女の罠に掛かったわけね」
「相変わらずやり方が汚いっスね」
「おかしいと思ったのよ。
だって護廷に“脱退”という制度はないもの」
「隊士自らの意志による脱退は認められてねーからな」
「『脱退』は『特別監理化』を意味する」
「脱退を通告された隊士は全員“蛆虫の巣”へ強制収容されるんだよね」
「でも四十六室は敢えて華月詩愛を通常の脱退扱いにさせて護廷から追い出した」
「あんな所に閉じ込められるなんて可哀想だよねぇ」
「因みに涅マユリは蛆虫の巣に収容されていたらしい。昔浦原が言っていた」
「ふん、いい気味よ、あの変態白玉団子」
詩調は鼻で笑い飛ばす。
「じゃあ梨央ちゃんの前の標的は…」
「華月詩愛ってことね」
「つまり詩愛チャンに会えば、冴島桃香に関する新たな情報を入手出来るかも知れないってことスね」
「…“詩愛チャン”」
「まさか…既にあんたの魔の手に落ちたんじゃ…」
「これだから手が早いクズは」
女性陣からの軽蔑の眼差しに驚いた琉生は慌てて否定する。
「ちょっと待って!!何か誤解してる!!」
「最低だわ。この女好き。」
「図星だからって見苦しい弁解しなくていいよー」
「……………」
「ちょっ、梨央チャン。怖い、顔が怖いっス…。まるでゴミを見るような冷たい眼で見ないで欲しいっス…!!」
「女好きをやめれるように改造でもするか…」
「Σ怖っ!!改造って何!?オレに何をさせようとしてるんスか!!」
「やっぱりあんたはどこまで行っても女たらしの下衆クズ野郎なのよ」
「下衆クズ!?新たな言葉を作り出すのやめて欲しいんスけど!?」
「るーたんなんて顔が良くなきゃそこら辺のモブと一緒なのねー?」
「うぅ…!集中攻撃が酷すぎる!!」
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