第4章 冬。
それでも夕飯の買い出しから帰ってくると、予想通り積もっていた雪に心躍らずにはいられなかった。
ちょっとだけ、ほんの少しだけ遊んでしまえと夕飯の仕度もそこそこに雪と向かい合った。
長時間ずっと雪を触っていると流石に冷たい。
はぁっとかじかむ手に吐息を吹きかけて温めるとまた雪をいじってを繰り返した。
「風邪を引かないように、と言ったはずだが」
完成まであと少し、というところで降り続けていた雪が止んで影が現れた。
原因を突き止めようと上を向くと、番傘が雪から私を守ってくれている。
傘を差し出してくれた人を見ようと後ろを振り向けば、仕事帰りの一さんがそこにいた。
もうそんな時間か。
夢中になっていて気が付かなかった。
「おかえりなさい、一さん」
返事もなしに一さんは私の手に触れてきた。