第4章 冬。
しんしんと雪が降り続ける空に向かって手を差し出した。
私の手の平に落ちた雪は、瞬間ひんやりと私の手を冷やしてすぐに溶けていく。
一瞬の冷たさがなんだかくすぐったかった。
辺りを見回すと葉に霜が降りて真っ白だ。
一面白くなるのも時間の問題だろう。
「雪と戯れるのもいいが、風邪を引かないようにな」
笑われてしまった。
少し子供っぽかっただろうか。
「はい。一さんもお気をつけて」
遠ざかる背中を見届けて日常に戻った。
雪にはしゃいでいる場合ではない。
やる事は沢山あるのだ。
よし、と一つ気合いを入れて、私は私の仕事に取り掛かった。