第2章 夏。
いつからだろう、一さんの隣が居心地がいいと感じるようになったのは。
「こんな時間にこんな所でどうした」
「一さんを迎えに来たんです」
善かれとしてやった事だが、彼は眉間に皺を寄せた。
あまり芳しくない表情に不安になる。
遅い帰りを心配して来てはいけなかったのだろうか。
「いくらここが静かで平和でも、何時何が起こるか分かりはしない。名前は家で待っていろ。どんなに帰りが遅くなろうとも必ず帰る。約束しよう」
私が彼を心配したように、彼も私を心配してくれたらしい。
何か悪い事をしてしまったかと不安に支配された心が、一さんの優しさで解けていく。