第2章 夏。
料理の用意が万全になって、すぐに盛り付けられるようにと皿の準備をしていたら障子から夕日の光が射してきた。
夢中になっていたら既に日暮れ。
いつもなら帰ってくる時間だが一さんは帰ってこない。
全ての仕度を終えて後は一さんを待つだけとなり、一人お茶を汲んで一息ついて待っていたのだが、空が赤から藍色へと変わっても帰ってこなかった。
心配になって灯りを手に持ち、しっかりと戸締まりをして家を出た。
一さんが仕事に出ている隣村まで迎えに行こうと思っての事だ。
たいした距離ではないので、暗くても歩いて行けると踏んで歩を進めた。