第9章 『はちみつ色のキミ。』 木兎光太郎
「『あっつーい‼︎』」
部活で散々汗を流したはずなのに、まだ暑い。
8月に入り、増してきた暑さ。
蝉の合唱が余計に暑さを駆り立てる。
『木兎はシャワー…じゃないな、水浴びしたじゃん。』
部活が終わった直後、外の水道に突っ込んでいって頭から水被ってたじゃない。
「本当ですよ…盛大に水掛けて…俺までビショビショですよ。」
自分が水被るだけじゃ満足しないでバケツ持ってきて水撒き始めた木兎。
慌てて止めに行った赤葦の被害と言ったら…
『赤葦ごめんね?』
「まあ、そのうち乾きますよ。夏ですし…」
そういう赤葦の顔は涼しそう。
1度止んだはずの蝉の声がまた聞こえてきた。
「『あづい…』」
『木兎…うるさい…』
「夏乃も言ったじゃん‼︎」
「痴話喧嘩はやめてください。暑苦しいです。」
『痴話喧嘩じゃない!』
「じゃあ俺、こっちなんで。」
「じゃあなーあかーしー!」
痴話喧嘩なんて変なこと言わないでよ…
まあ、木兎は気にしてないみたいだけど…