第7章 ぽにーてーる☆せったーず。
孤爪研磨の場合。
pm7:40
『けんまー!一緒に帰ろー!』
「うん…」
部活終わりの研磨を部室にお迎えに行くと、着替えが済んだ研磨が部室前で待っててくれた。
『あれ?クロは?』
「なんか見たいテレビあるからって先、帰った…」
『じゃあ今日は2人だね?』
にこりと笑えば研磨は私から目をそらす。
『?けんま?どうしたの?』
「…夏乃、いつもと違う…ね?」
髪型…と言われ思い出す。
『今日、髪ゴム1本しかなくてポニーテールにしたの。』
くるくるーっとまわり、ポニーテールを揺らす。
『似合う?』
「ん…かわいい…」
かろうじて聞こえる声で呟いた声をギリギリでキャッチ。
『本当?』
ずいっと研磨に近寄れば私から目をそらしながらもこくりと首を縦に振った。
『よかったー。似合わないとか言われたらどうしようかと思った。』
「夏乃…かわいいからなんでも似合う…」
『けんまだけだよー。そんなこと言ってくれるの。』
きゅっ
腰に巻いたカーディガン
それを掴む研磨。
振り向けば、カーディガンから手は離され代わりに私の手を掴む。
「じゃあ…おれの前だけで…かわいい夏乃で…いて…?」
顔を真っ赤にして下を向く研磨。
遠回しな告白に私の顔も夕日みたいに赤く染まる。
『わ…たし?』
「夏乃じゃなきゃ…言わない……」
かわいい顔なのに男らしい手。
その手を握りながら私はぽつり、言葉を紡ぎ出した。
『すき』
end