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夜の少年達【HQ】

第31章 『S系女子の秘め事』 日向翔陽 R18



田舎独特のお盆の集まり。
分家である私の家は本家である日向家での集まりに参加。
久しぶりにお盆に帰省した私は久々の参加となった。
挨拶廻りをし、女衆は台所男衆は広間で宴会の準備子供は山へと繰り出した。

あー暇。
近くにお店もないし、スマホの電波もギリギリだし、つまんない。
少しでも電波を受信する場所を求めて家の中を歩き回れば、縁側に懐かしい顔が見えた。

「あれ…?翔ちゃん…だよね?」

小柄で運動神経が良い元気な男の子。
そんな彼のイメージは変わらない。
でも久しぶりに見た翔ちゃんは男の子、というより男の人になっていた。
私より小さかった身長はぐんと大きくなり、小柄な体格はTシャツの上からでもわかる、でもほどほどについた筋肉。
昔遊んだ少年は立派な"男性"へと変化していた。

「夏乃ちゃん?うわあ懐かしい!元気だった?」

昔と変わらない人懐っこい笑顔で私に近づいてくる。
日向という苗字のような暖かな笑顔はそのまま。

「元気だったよ?翔ちゃんバレーで大活躍だったんだってね?」

おじさんおばさんたちが自分のことのように話してたからなんとなくは知ってる。
春高3年連続出場…だっけ?
体育でしかバレーをしたことのない私にとって、バレーの全国大会のレベルがわからないけれど、まあすごいのだろう。

「いやぁ…春高出れたのは俺だけの力じゃないし。
影山がびゅっていうトスあげてたからだし!
俺が飛ぶといっつもここ!っていうところにドンピシャでボールあげてくれるからそこから相手のミドルブロッカーに捕まらないように打ちぬくのがすげー楽しいんだ!」

途中からちんぷんかんぷんになりながらも話を聞き、うまく相槌を打てば、翔ちゃんはきらきらした目で私をみた。

「ぴょぴょーんって飛んだ先、ネット越しに見える景色がサイコーなんだ!」

すごく純粋な、穢れを知らない瞳。




こういう瞳、わたしきらい。


「ねえ、翔ちゃんって大学生?」

「ん?そうだよ?東京の!」

「私も東京なの!今度ご飯行こう?メッセージアプリやってたら友達登録してもいい?」

まくしたてるように翔ちゃんに言いたいことを述べ、携帯を出させるとあっという間に友達登録をする。
バレーボールのアイコンが増えたことを確認し、私はスマホをポケットにしまった。





「楽しみにしてるね…?翔ちゃん。」

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