第23章 『五月雨の夜。』嶋田誠 R18
次に唇が離れた時に見たのは怒ったような困ったような顔の嶋田さん。
「俺、余裕ないの。だからキスは最後って思ってたのに…」
そう言って身体を離す嶋田さん。
『やっ!』
離れていくのが嫌で首に回していた手をぐいと引くと、嶋田さんの顔が近づいた。
『しま…まことさんのすきに…して?』
「わかってやってるだろ。」
こつり、私のおでこに嶋田さんのおでこが当たる。
かちゃりと眼鏡の音がした。
いつもは眼鏡越しの瞳が今は眼鏡がずれて境界がなくなる。
位置もより真剣で、それでいて熱っぽい瞳。
『だって…なかなか本気出してくれないなって…』
「はじめてくらい優しくしようと思ったんだけどそんな気回さなくても良かった?」
『ん。痛くても苦しくてもいい。だから、まことさんのすきにして?』
ちゅっ
唇に灯る熱。
身体を起こそうとする嶋田さんの首に巻きつけた腕の力を抜くと、嶋田さんはにやり、笑った。
「手加減なんか、しないからな?」