第23章 『五月雨の夜。』嶋田誠 R18
「子供に見えないから…困ってるんだよ。」
嶋田さんのいつもより低い声。
同時に私の体がぎゅっと嶋田さんに包まれる。
『嶋田さ「好きだよ、夏乃ちゃん。」
息が止まった。
「本当はさ、初めて会った時…ボール拾ってもらった時から、好きだよ。」
私を抱きしめる手に力が入った。
「でも、歳も離れてるから、高校生だからって今まで遠慮してた。」
ぽんと頭に嶋田さんの手が乗る。
「でも、ダメだったみたいだ。会えない期間、ずっと夏乃ちゃんのこと考えてた。」
嶋田さんははぁと長く息を吐く。
「子供だと思ってたんだけどな。」
ぽそり、呟かれた言葉。
『じゃあ…』
私は嶋田さんのTシャツをぎゅっと握る。
『嶋田さんが…私のこと、ちゃんと大人にして…?』
「へ…?」
嶋田さんのすっとんきょうな声が部屋に響く。
『だからっ!……っもういいっ!』
恥ずかしい!恥ずかしい!
言わなきゃよかったー!
自分からそう言うこと誘うなんて!
えっちな子だって思われちゃう⁈
ぐいと体を押すけれど嶋田さんの体は離れない。
「俺で…いいの?」
小さくつぶやかれた声。
その声に私はこう、答えた。
『嶋田さんがいいの。だから…』
不意に体が離れる。
どうして…?
そう思っていればなぜか嶋田さんは休憩室から出て行こうとする。
その背中を追いかけようとすると、近くにあったタオルがばさり、被せられた。
『嶋田さん…?』
「待ってて?すぐ戻ってくるから。」
…?
どういうこと?と首を傾げていると頭にぽんと嶋田さんの手が乗った。
「準備、してくるから。」
その言葉に一気に体が熱くなる。
蚊の鳴くような声で返事をすると、嶋田さんは部屋から出て行った。