第22章 『私のことを見てください。』月島明光
「でもさ、夏乃ちゃんは高校生で、俺の気持ちだけで突っ走ったらぜったい夏乃ちゃんを悲しませる。
俺、それだけは嫌なんだ。」
明光さんはこつり、と私のおでこに自分のおでこをくっつけた。
『明光さん…?』
私はそっと、私の頬に触れている明光さんの手に自分の手を重ねた。
『私、私ね…?明光さんのこと、大好きです。
だから…
私のこと、ずっと見ててください。』
そう言えば、明光さんはくすり、笑う。
「”待て”ができなかったら年下…それも弟と同い年の女の子に告白なんてできないよ。」
ぶっちゃけ、手出したら俺犯罪ぎりぎりだし…と明光さんは苦笑いしながら私から離れていく。
まだ、
まだ私、明光さんに伝えてないことがあるの。
明光さんに聞きたいことがあるの。
すこし眠ろうか、と布団に入り込む明光さんの洋服を、私はくいと引っ張る。
『あの……
あの…
私、いつか、明光さんに
…全部………あげる…からっ…
私…のこと………もらってくれますか…?』
そう、なんとか伝えれば、明光さんはうーと唸りながら枕に突っ伏した。
『明光さん「いいの?」
枕に突っ伏したまま、明光さんは私に問いかける。
「本当に俺でいいの?」
ちらり、枕から明光さんの瞳が覗く。
『明光さん”が”いいんです。』
小さな声で呟けば急に引かれる腕。
バランスを崩して倒れた先には明光さん。
「ずっと俺のものでいて?」
そう聞かれた答えはもちろんイエス。
私は明光さんの瞳を見つめ、そっと閉じる。
そして、返事をするかのようにそっと自分から唇にキスを落とした。
end