第21章 『 ホントの私を見てください。 』月島 明光
『あいたかった…です。』
「うん。」
『私…明光さんに言えてないこと、いっぱいあります。』
「うん。これから少しずつ教えてくれる?」
こくり、頷くと私は顔を上げる。
涙でぐしゃぐしゃな顔。
それを見て、くすり、笑う声。
今まで言えなかったこと。
高校1年生だということ。
学校では友達が少ないこと。
おばあちゃんと二人暮らしなこと。
でも、それ以上に伝えなきゃいけないことがある。
『私…椎名 夏乃って言います…』
初めて名前を口に出せば、明光さんは優しく微笑む。
「やっと、名前教えてくれたね。」
年が離れていることも、弟さんと同じ学校なことも関係ない。
『私…明光さんが…………』
end