第20章 『いつもと違う君と。』 月島蛍
「背中のファスナー、閉めてくれない?」
要は、うまく閉まらないファスナーと格闘するより、私を呼んだ方が早いことに気づいたらしいです。
私は蛍の背中に周り、ちいいっとファスナーを閉める。
『それって吸血鬼…?だよね。血ぃ吸われちゃう?』
冗談めかして言うと、蛍は音も立てずに振り返る。
くすり。
蛍が笑う。
『な…何?』
蛍の指がジャージの襟から忍び寄る。
「このまま噛み付くのもいいケド…
僕は血より夏乃が欲しいんだケド…?」
ぺろり、首筋を舐められぞわり、体が震えた。
蛍なのに、蛍じゃないみたいで
いけないことしてるみたいで
ドキドキが止まらない。
「何?感じちゃった?夏乃。やーらしー。」
『ちっ!違うもん!』
「夏乃のことキモチよくしてあげるけど、それは部活が終わってからね?」
そういうと蛍はさっさと倉庫から出て行く。
外では蛍を見てみんなが騒ぎ出す。
『違うもーん!』
否定をしながら私は蛍を追いかけみんなのもとに向かった。
end