第20章 『いつもと違う君と。』 月島蛍
side月島
「げ…負けた…」
ただいまバレー部全員でじゃんけん中。
なんでグーなんて出してしまったんだろう。
「今年は月島か!」
本日、10月31日。
世間ではハロウィン…らしい。
「去年は俺だったー。用意された服が女物だったんだよな…」
「スガ…似合ってたぞ…」
遠い目をした菅原さんに気休めのように声をかける澤村さん。
今年は、どうか女ものじゃありませんようにと祈り、僕は衣装の入った袋を受け取り体育倉庫に向かった。
ーーーーーー
「月島ぁ!ちゃんと着て出てこいよー。」
「はいはい…なんで僕が…」
用意された服を出してみれば…
「げ…」
うそデショ…
体育倉庫の中、僕は絶望した。
そんな僕の気持ちとは裏腹に壁の向こうは盛り上がる。
「今年は潔子さんに是非と思ったんだけどなぁ。」
「男子だったときのためにカツラは入れておいた!」
「ウイッグな?ノヤッさん。」
おい。今年の衣装は単細胞組が用意したのか。
せめて縁下さん、成田さん、木下さんが選んでくれたらまだまともだったんじゃないかと思う。
深い深いため息をついた僕は運動マットの上に置いた衣装を手に取った。