第19章 『あま☆よわ★ハロウィン。』 山口忠
side山口
『ただし、いただきます。』
そう言って夏乃ちゃんは俺にキスをした。
こんないたずらなら、いつでも…じゃなかった!
俺だって!
夏乃ちゃんに頼りきりじゃないんだから。
ちゅっちゅっと俺の唇に吸い付く夏乃ちゃん。
俺はそっと夏乃ちゃんの腰に手を回し、ぐいと自分に引き寄せる。
「夏乃ちゃん、俺も…いたずらしていい?」
いつも無邪気でかわいい夏乃ちゃん。
誰とでも仲がいいから不安なんだ。
俺なんかで本当にいいのか。
だから、たまには男らしく…いきたいなとは思うんだけど…
ツッキーだったらもっとスマートに色々やるんだろうな…
そうもやもや考えていたら、俺の前に立っている夏乃ちゃんが俺の頬を包んだ。
『私、ただしならなんでもされたい。
いたずらだって…なんだって…』
顔を真っ赤にしながら答える夏乃ちゃん。
「じゃあ、お菓子じゃなくて…俺に、夏乃ちゃんを頂戴?」
夏乃ちゃんの瞳を見つめながら俺は言う。
いつまでも弱気でなんかいられない。
俺は夏乃ちゃんの、彼氏、なんだから。
しっかり見つめた瞳の先には、可愛らしい彼女の微笑み。
俺にとってはその笑顔がとびきり甘いお菓子みたいなんだよ?
さっきは夏乃ちゃんから。
でも今度は俺から。
甘い甘い夏乃ちゃんを、
いただきます。
end