第2章 『蜘蛛の糸』 灰羽リエーフ R18
「行ってらっしゃい」
朝、私は仕事に行く旦那様を見送る。
「ごめんな?寂しくさせて。」
「しょうがないよ。仕事なんだし。」
今日から1週間の出張。
「智(さとし)さん、遅れちゃうよ?」
慌てて走り去る旦那を見送る。
1週間…
短いようで長い旦那の不在にため息をつく。
籍を入れて早1年。
子供がいるわけでもない。
朝、旦那を送り出し、夜中に帰ってくる旦那を毎日待ちわびる生活。
たまにする旦那との性行為は、旦那よがりのもので濡れた穴に突っ込まれ欲を吐き出される。
ただそれだけ。
造った声をあげわざとらしく鳴く自分に、至極冷静になっている自分と心の奥底で激しい熱を求める自分。
「よかっただろ?」
そう聞かれてしまうと燻っていた身体は急激に温度を下げる。
嗚呼、この人はわかっていないんだ、と。