第15章 『無口少年は何を思う。』 福永招平
シーン…
みんな帰った後の静まり返った部室。
そこに呼び出されたわけですが、どうして呼び出されたかわからない。
むしろ呼び出してきた人物が意外すぎてびっくりしたわけですが…
『どうした?福永。部活でなんかあった?』
福永は私の問いかけにぶんぶん首を横に振る。
『何か必要なものとか?』
ぶんぶん。
『もしかしてビブス臭かった⁈最近雨続きだから部屋干しばっかりで…』
ぶんぶんぶんぶん。
これも違うのか…
『じゃあ、どうしたの?福永。』
言葉数のものすごく少ない後輩。
一緒に部活やってきて2年。
少しは打ち解けたと思うんだけどなぁ。
「あ…の……」
小さな小さな声でつぶやく福永。
『ん?』
きょろっ
きょろっ
私と目を合わせないようにせわしなく目を動かす。
『ゆっくりでいいよ。待ってるから。』
こくり。
福永はうなづくと、困ったような顔をして俯く。
指先をくるくる回しながら、何かを考えるようにしている。
そのまま数分。
そろそろいいかなー…
福永さーん。
私が口を開こうとすると、それよりもワンテンポ早く福永が口を開ける。
「俺…」
うん
「先輩…」
うん
たっぷり間を取って、私の目を見て、福永は私を呼び出した用件を口に出した。
「すき。」
『へ?』