第4章 他人に悪事を行えばそれなりに仕返しされるもの
脱衣所から物音がしなくなったのを確認してから扉を開ける。
扉のすぐ前の床には白いバスタオルが入った籠が用意されていた。
どうやら先ほどの足音達はこれを置きに来てくれたらしい。
『それにしたって、全員でくることないのに』
苦笑しながら籠からタオルを取り出すと、更に下に衣服が詰められていた。
とりあえず身体の水滴を拭き、頭にタオルを被せ、その衣服を取り出す。
中には男物と思われるカッターシャツとジャージのズボンが入っていた。
さすがに下着は用意されていないようだ。
汗まみれの服を再び着る気分にはならず、こちらもありがたく借りることにした。
しかし男物なのでサイズが大きく、ただでさえ背の低い私には不恰好すぎる。
他になかったのかとジャージの裾を捲りながら、借りている立場で文句を呟く。
着替えて脱衣所を出る。
シャワー上がりに裸足でローファーはあまり履きたくなかったのでそのまま裸足でペタペタと歩く。
廊下を進み、四人の部屋の扉のノックし、返事を待たず開けた。
『あがったよ。
タオルと着替えありがと…』
と言い終わるや否やトド松の持っているスマホからフラッシュが炸裂する。
それをやめさせようとした時、腹部に誰が抱きついてきた。
倒れないように耐えるが体重差で、後ろによろめき尻餅をついてしまった。
「やっぱり可愛い!
ムーメちゃん小さいから余計にイイね」
「やはり風呂上がりガールにはシャツだな」
「なんかいい匂いするっす!」
「彼シャツはいいけどさー、なんで下が一松のジャージなの?
履いてないのが正義じゃん!」
「おそ松兄さん、それは僕たちには刺激が強すぎるよ」
私は呆気に取られていると、口々に感想を言っていく。
腰にくっ付いている十四松をはがそうとすると、特に何の抵抗もせず離れてくれた。
『何なの?』
「んとねー!皆で、お風呂上がりのムーメちゃんに着せたい服を選んだんだよ!」
答えになってない答えが帰ってくる。
『まあ、趣味はとにかくとして、他にサイズないかな?』
責めても無駄だと思い、文句だけ言っておく。
「わかんない!
けどこれ、チョロ松兄さんと一松兄さんのなんだよー!」
今いないから着てていいよ!と元気よく言う。
『…じゃあ、帰ってきたら洗って返さないとね』
笑顔でそう返すと、十四松もにっこり笑って頷いた。
