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【マフィア松】Focus Me【おそ松さん】

第4章 他人に悪事を行えばそれなりに仕返しされるもの


『…ねえ、さすがに私の着れるようなサイズの服ってここにはないよね』

十四松から視線を移し、おそ松に尋ねる。
ニヤニヤとこちらを見ていたおそ松は急に話を振られ、驚きながらも返す。

「えあ?うーん。
俺たち皆体型同じだし、そんな小さい服はないよな?」

おそ松がトド松とカラ松にも目配せすると二人は考え込む。
トド松が少し言いづらそうに話し出した。

「もしかしたら、僕たちの昔の服があるかも、しれないんだけど…」

『本当?ちょっと貸してくれない?』

「いいけど、その、ムーメちゃん小さいから…。
僕たちが子供の頃の服になっちゃうかも」

言い終えるとトド松は罰が悪そうに俯いてしまった。
私が背の低いことを気にしていると思っているのかもしれない。

『大丈夫だから見せてもらっていい?』

「…わかった。じゃあ取ってくるね。
カラ松兄さんも手伝ってくれる?」

カラ松はああ、と短く返事をするとトド松と共に部屋を出て行った。
私は誰も座っていないソファーに再び腰掛ける。
おそ松は暇そうに頬杖を付き、十四松はいつの間にかバットを取り出し磨いている。

これで潜入用の衣装は整う。
ついでに軽く武器も借りれないかな、と考えているとおそ松が話しかけてきた。

「なー、昨日から思ってたんだけどさ。
全然俺たちのこと警戒しないよな。なんで?」

突然思考に割って入ってきた問いに、おそ松を一瞥し、また視線を斜め前の床に戻す。

『…昨日はバレてないと思ってたからね』

「でもさー、出されたもの何でも食うし飲むじゃん。
昨日もぐっすり寝ちゃってたし」

何か意図があって質問しているのかと思ったが、単純な好奇心だろうか。

『毒なら一口でわかるし、普通にしてたほうが怪しまれないから』

目線を合わせず、苛立ちを隠さずに言う。
おそ松の表情はわからない。

「ふーん。じゃあなんで、」

「持ってきたよー!」

言いかけたところで扉が開く。
トド松とカラ松が両手いっぱいに服を持っていた。
私はおそ松の横をすり抜け、二人に近づく。

「なんであの時、撃つの躊躇った?」

おそ松とすれ違う瞬間、楽しそうな声色で囁かれる。
…あれは狸寝入りだったのか。
その言葉に立ち止まりそうになるが、聞かなかったフリをする。

『…気のせいじゃない』

私は自分にしか聞こえない声で呟いた。
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