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【マフィア松】Focus Me【おそ松さん】

第4章 他人に悪事を行えばそれなりに仕返しされるもの


「だがあれは本来ムーメの部屋ではなかったようだ。
ガールの私物とは思えないものばかりだったぞ」

カラ松の発言に、私ではなく他の四人が驚く。

「はあ!?何それ聞いてないよカラ松兄さん」

『見たんだ?』

「ガールのプライベートを覗くのは失礼かと思ったが仕方なくだ。
少しガールが生活していたような形跡もあったから念のため火を放ったが」

カラ松は大袈裟な動きで脚を組み替えながら答える。
念のため、で焼かれた部屋が不憫に思える。

『その部屋は元住人が一ヶ月前から行方不明らしくて、私が代わりに使ってるだけだよ』

その人もう帰ってこないし、と付け足す。
行方不明、の意味を察したらしい数名は複雑そうな顔をしている。

『脅しのつもりか知らないけれど、別にあの家には特に何もないから教えたの。
調べられても無くなっても別に困らないから』

ただ、あの周りにはスイーツの美味しいお店が多かったのが唯一悔やまれるところか。
目論見が外れたのかカラ松は肩を落としている。


「んで、俺への回答は?」

おそ松が会話を切って尋ねてくる。
先のはハッタリかと思っていたので、何の話だっけ、と誤魔化すが意に介さない。

「だからー、まだなんかあんでしょって。
それともなんで自分が生かされてるの忘れちゃった?」

表情こそにこやかだが、威圧的な雰囲気を放っている。

『そっちこそ命を狙われなくなった理由忘れたの?
依頼人なら他にもいるんだよ』

こちらも負けじと応戦する。
三人の兄弟は押し黙っていたが、私は密かに感心していた。
それまで飄々としていたおそ松の、彼が彼らのボスたる迫力に。
それともこれは、六つ子の長男としての威厳なのだろうか。

とりあえず、これ以上言い合っても状況は好転しないと考え、ソファーに座りなおす。
しかしこの情報を伝えてしまうのは殺し屋してはリスクが高い。
どうしたものかと考える。

『…ある、よ。まだ言ってないこと』

「やっぱり?
あるなら早く言ってよねー」

私はため息まじりに答える。
おそ松はそれを聞いて嬉しそうな声をあげた。
他の三人も部屋の空気が緩んだことにとりあえず安心したような顔をしている。

『…ただし、条件がある』

「条件、ね」

それだけ復唱するとおそ松は話を促すようにこちらを見てくる。
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