第4章 他人に悪事を行えばそれなりに仕返しされるもの
『私に松野おそ松の殺害を依頼してきたのは二人。
一人は君たちの言ってた元売人の男』
現在は死体かな、と付け足す。
おそ松は目を瞑りながら、カラ松は前のめり気味に、十四松は口に手を当てながら何かを考えながら各々私の話を聞いている。
トド松は膝に置いたノートパソコンで情報を整理しているようだ。
『もう一人は、カヴールファミリーと名乗った中年の男』
心当たりは?と尋ねた数秒後におそ松が、あ、と声をあげた。
全員の目線がおそ松に集まる。
「ほら、前から傘下に入らないかって話持ってきた奴らがいたじゃん」
「あーいたね。そんな感じの名前だった」
おそ松とトド松はどうやら思い出したようだが、残りの二人、カラ松と十四松は首を傾げている。
「なんでそれで命を狙われることになるんだ?」
私も聞きたかったことを先にカラ松が尋ねる。
「…あんまりうるさいからあいつらの経営してる裏カジノ潰しちゃった」
おそ松は、てへ、とわざとらしく舌を出す。
「この前ハッスルしたとこ!?」
「そうそう、十四松よく憶えてるじゃーん」
おそ松は何故か嬉しそうに十四松の頭を撫でる。
「はぁ!?あれそんな理由だったの!?」
「いやー、俺ああいうしつこいの無理だし」
両手で握っていたグラスは気づけば氷だけになっていた。
四人はおそ松に掴みかかる勢いで詰め寄っていく。
することもない、完全に蚊帳の外になった私は立ち上がる。
『じゃあ帰るから』
騒いでいた四人はハッとこちらを見る。
「まあ待て待て、話はまだ終わってないよ?」
おそ松がソファーを指差して座るように促す。
私はそれには従わず足元にあったバックを取る。
『情報は出したんだから後はそちらでどうぞ』
「いや、まだなんかあるでしょ?
出し惜しみは良くないと思うなー」
おそ松は不敵な笑みを浮かべる。
「それに、ムーメの帰るべき場所は灰燼と化してしまったんだ。
ゆっくり話そうじゃないか」
忘れかけていたが、カラ松の言う通りなら家は燃やされたんだっけ。
本当なのかハッタリなのかはわからないが。