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【マフィア松】Focus Me【おそ松さん】

第3章 魚心あれば水心


チェリー松兄さん…チョロ松兄さんと一松兄さんがいなくなったのは今から二日前のことだ。

二人はとある仕事を片付けに行ったっきり帰ってこなくなった。
代わりに事務所に送られてきたのは傷だらけになって縛られている二人の写真の添付されたメールだった。
内容は要約すればありきたりな「お前らのボスを差し出せさもなくば二人を殺す」というものだった。

メールを見た時ははまあ大変だった。
みんな殺気立って雰囲気最悪で、下手に口が出せる状況じゃなかった。
その勢いでバラバラと二人が仕事に向かった先やファミリーに恨みがありそうなところに殴り込みに行ったが、いかんせん心当たりがありすぎて見つけられなかった。

その翌日、四人はとある廃墟に集まった。
意気消沈といった様子だったが収穫はゼロではなかった。
四人の前には椅子に縛られた男がいる。
おそ松の殺害を殺し屋に依頼した人間を捕まえたのだ。

彼は数ヶ月前まで薬の売買を生業にしていたのだが、少し欲を出しすぎた、要するにマフィアの目に止まってしまった。
それがたまたまこの辺りを仕切っていた僕たちのファミリーだったわけだ。
彼は商売道具を没収され、ちょっと「痛い目」にあって、帰らされた。
その後男は結局今までの商売ができなくなり、まともな職にも着けず、お先真っ暗となったわけらしい。

そんな時幸運にも見つけたのが一部で有名な「人形」と呼ばれる殺し屋だったわけだ。
彼はその殺し屋に有り金全部叩いてボスであるおそ松兄さんの殺害を依頼したらしい。

そもそも彼がリスクのある商売を自ら行って、失敗しただけなのだ。
恨まれる筋合いがないわけではないが、お門違いじゃないかと僕は思う。

閑話休題、今回二人の兄が捕まったのと直接関係はないが、彼からは興味深い話が聞けた。

彼が依頼してから数日後、その殺し屋の仲介人から連絡が来たそうだ。
依頼完了まで連絡はしないという話だったので何事かと思ったらしい。
内容としては、

「他の人間から同じ依頼が来た。貴方の依頼が先なのでもちろん断ったが、恐らく向こうは別の手で殺害を考えるようだ。
そうなればこちらから手を出さずともターゲットは殺される。
もしそれで構わないなら、今回の依頼はなかったことにも出来るが、そちらの意思を伺いたい」

といったものだった。
殺し屋というのは意外と親切な人柄なのかもしれない。
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