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【マフィア松】Focus Me【おそ松さん】

第2章 信ずるは良し、信じないのはもっと良い


『いえ、そろそろ起きようと思っていたので大丈夫ですよ。
あ、お邪魔でしたら出てましょうか?』

仕事終わりで何か作業でもするなら邪魔になるかもしれない、と思い立ち上がろうとしたが手の平で制される。

「いや、それこそ大丈夫だ。
客人なんだから気にしないでくれ」

そうだ、挨拶がまだだったな、と彼はソファーの前まで歩み寄る。

「俺は松野カラ松、六つ子の次男だ」

『ムーメ、です』

「ああ、おそ松から聞いてるいる。よろしくなリトルガール」

昨日ぶりに、よく似た顔だけど違う人と握手と名前を交わす。
自己紹介も挨拶もあまりする機会がなかったので、未だに緊張する。
男性らしい大きく、少しゴツゴツと骨張った手だ。
お互いに笑顔を浮かべ、ゆっくりと手を離す。
何故か焦げくさいような煙のような匂いが鼻についた。

あぁ、これはもしかして、と思う。
まだ断定はできないが、これは私の考えうる中でも、最悪な流れではないか。

まあ、ここまできてしまったものは仕方ない、と頭を切り替える。

この部屋の近くに人の気配はないし、彼一人が相手なら何か起きても逃げるぐらいはできそうだ。
ざっくりとした方針を頭の中で整え、握手を終え再び話しかける。

『あれ?なんだか煙の匂いがしますね。
どこかで火事でもあったんですか?』

わざとらしいぐらい、不思議そうな顔をして、首をかしげる。
相手に不審感を抱かれても構わない。
むしろ、全て気づいているんだ、ぐらいに見られていた方が今後を考えるといいかもしれない。

「…あぁ、近くで不審火があったらしい。
薬屋の入ったアパートメントだったかな?」

一瞬、間が空いてカラ松が応える。
鳩が豆鉄砲食らった、という表現が似合う表情だったが、すぐに挑発的な笑顔に代わる。

どうやらこれ以上隠すつもりはないらしい。
疑心が確信になる。

どうやら私の家はなくなったらしい。
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