第2章 昔と変わらない桜の木
夕方の6時。
窓から入る光がフローリングを橙色に染める。
「うへぇあ~!やーっと荷解き終わったぁ…」
一日かけて開けた段ボールたちを平らにたたみ、
とりあえず玄関の方へ放り投げてベッドへ倒れこんだ。
「疲ーれーだーなー…」
スマホを見ると新着メッセージが届いていた。
「あ、トド松くんだ」
はるるんヤッホー☆
一人暮らしの準備はどう?
僕にも手伝えることあったらいつでも言ってね!
というメッセージとともに可愛いうさぎのスタンプが送られていた。
「女子力高いなトッティ…。
えっと、さっき荷解き全部終わったから大丈夫だよ、ありがとう…っと」
メッセージの後は負けじと可愛いスタンプを送信しておいた。
するとメッセージを送信してから一分もしないうちに電話がかかってきた。
「ん?どうしたんだろ…もしもし?」
『あ、もしもしはるるん?』
「うん。どうしたの?」
『荷解きとか全部終わっちゃったんだ!もっとはやく連絡すれば良かったぁ、ごめんね』
「いやいやいいよいいよ!その気持ちだけでも嬉しいデス…」
『あのさ!突然なんだけど、はるるん今日の夜って空いてる?』
「うん、今日の夜は特に何もないよ。」
『…よし!じゃあ飲みに行こうか!はるるん!』
「えっ、飲み?」
『あっ、もしかしてそんな気分じゃなかった?』
「ううん!行きたい!」
『ホント?良かったぁ!』
じゃあ8時に駅前集合ねと言ってトド松くんは電話を切った。
突然の誘いでビックリしたけど、今晩は一人で過ごすのではなくトド松くんと飲めると思ったらなんか嬉しくなって早速出かける準備にとりかかった。
そういえば、トド松くんと飲みに行くなんて初めてだなぁ。
って、高校生の時以来会ってなかったから当たり前か。
「トド松くんもわたしも昔は一人でトイレ行けなくて、お互い付き添ってた頃もあったけど…もう一緒に飲みに行くまでになったかぁ…」
時間が経つのってあっという間だなぁ。