第3章 移り変わりゆくもの
「あれ、伝票どこ?レジの方かな。」
「さくらちゃん、出口こっちだよ」
「え、お支払い」
『ありがとうございました。』
「へ!?」
『もうお済みですよ。またのお越しお待ちしておりますね。』
と綺麗な店員さんがニッコリと笑う。
「えっトド松くん!?」
「僕、さくらちゃんと初めて一緒に飲めてすっごく楽しかったんだ。これくらいさせてよ?」
「いやむしろ私がお礼したいくらいだよ…!」
『あ、松野さんファイトー(笑)』
最後に綺麗な店員さんはトド松くんに謎のエールを送った。
エールを送られたトド松くんはそれをチョップで返していた。
よく分かんないけど、仲良いなぁ。
「本当にごめんね、トド松くん、ありがとう、ご馳走様でした!」
「いいって!さくらちゃんてば大袈裟だよ。」
「今度は私がおごるねっ」
「それってまた僕と一緒に飲みに行ってくれるってこと?やった♪」
「もちろん!トド松くん、今日は本当にありがとう。」
「うん!こちらこそ♪」
「じゃあ、気を付けて帰ってね!とくに足元!」
「え?」
「え?」
え…?
帰るんじゃないの…?
もしかしてハシゴ…?それともカラオケ…?
「何言ってるの?」
「えっと、帰らないの?」
「帰るよ?」
「…ん?」
どういう意味?トド松くん酔ってる?
「いつバイバイなんてするって言ったの?このまま僕ん家行くよ!」
「はい?」
「おそ松兄さんにさくらちゃんごと連れて帰ってこいって言われたから、ほら行くよ。」
とトド松くんは私の手首をキュッと握って松野家の方向へ歩き出した。
「えっ…トド松くんッ!?」
あっ、手握られ…!///っじゃなくてどういうこと!?
「え、ちょっ、ドド松くん!!」
「…ブゥッッッ!!!!!」
私の色気が無さすぎる噛みっぷりにトド松くんは盛大に吹き出した。もう何年も彼の幼馴染をしているがこんな吹き出し方は初めて見た気がする。
「あ、ごめんっトド松くん」
と言い直したがほとんど意味は無く、トド松くんは地面に膝をついて声にならない笑いで肩を震わしている。
「…ハァ、ハァ、さくらちゃん、」
「ハイ」
「次ドド松って言ったら下僕になってもらうからね。」
「ハ…ハイ」
わざとじゃないのに…