第15章 右手と左手*伊月*
ベッドの上でごろりと寝転んで携帯をいじっていると、急に画面が着信画面に変わった。
ディスプレイに表示される名前を見て、私は急いで電話を繋げた。
「もしもし?」
「あ、?ごめん、今大丈夫?」
電話越しの彼の声に、思わず顔がにやけてしまう。
「うん、大丈夫だよ。どうしたの?」
「あのさ、急なんだけど来週の土曜日って空いてる?」
「うん。確か何もなかったはず…。」
「顧問の先生が急に用事入ったからって、練習休みになったんだ。どこか出掛けない?」
「ほんと!?行く行く!」
「じゃあさ、明日学校でまた行くところ決めようか。ごめん、これから日向たちとメシ行くからまた明日な。」
「はーい。じゃあまたね。」
電話を切ってもなお、ニヤニヤと顔の緩みがおさまらない。
きっと今日休みが決まって、練習の後すぐ電話してきてくれたんだろうな。
ちゃんと二人の時間を作ってくれようとする優しさが身に染みて、じんわり幸せ気分に包まれた。
「初デートだぁ…。」