第13章 一番君を好きなのは*紫原*
気付いたら、黄瀬ちんをちんから剥がして、オレが後ろからぎゅうっと抱き締めていた。
「あっくん!?」
「ちんはオレの!オレがちんを一番好きなの!」
自分が言ったことに、自分が一番ビックリした。
あー…ヤバい。言っちゃった。
周りを見ると、目が点になるミドチンに口をあんぐり開ける黄瀬ちん。
峰ちんとさっちんはニヤニヤして、体育館の扉から覗いてる。
黒ちんはなんか優しく微笑んでる。
腕の中を覗き込むと、ちんは顔を真っ赤にして今まで見たことないくらい可愛い顔になってる。
「あっくんのバカ…。皆の前でとか、恥ずかしいんだけど。テツくんの言う通りだよ…。」
「ん?」
両手で顔を隠していても、耳まで真っ赤になっていて。
このまま見ていたいなーって思ってたのに。
「ところでお前たち、休憩の時間はとっくに過ぎているぞ?全員筋トレ3倍だ。」
…赤ちんの笑顔の命令。
渋々トレーニングに戻ろうとした時、ちんがくいっとTシャツの裾を引っ張った。
「なーに?」
振り向くと、ちんは顔を上げてオレの目を見て言ってくれた。
「私あっくんが一番好きだよ。だからあっくんがヤキモチ妬いてるって聞いて嬉しかったの。」