第1章 身長差の恋*伊月*火神*木吉
鉄平が自販機でレモンティーを買ってくれて、私たちは公園へと入っていった。
ベンチに並んで腰かけると、一気に彼との距離が近くなった。
「何むくれてるんだ?」
また私の頭に手を置かれて、抑えていた気持ちが溢れ出してきた。
「あんまり頭撫でられると、子ども扱いされてる気がするの。」
唇を尖らせて拗ねていると、彼はきょとんとした顔をして口を開いた。
「が可愛いからついつい撫でちゃうんだけどなぁ。」
「え!?」
「嘘は言ってないぞ?」
あっけらかんとする彼を見て安心する一方、何だか悔しくもなった。
「…いつも鉄平ばっか余裕だよね。そっちばっかりずるい!…頭撫でさせて。」
私が立ち上がると、ようやく少しだけ彼が目線の下にいる状態になった。
手が彼の栗色の髪に触れる。
そこからよしよしするように手を上から下へと動かした。
意外と柔らかい髪の感触が手に伝わる。
いつも遠いところにある彼の頭を撫でたのは、これが初めてだった。
心地良さそうにしている彼を見ると、不本意ながらこんな気持ちが生まれてきた。
可愛い。
すると胴に逞しい腕が回され、体が引き寄せられた。
「でかくなってから頭撫でられるなんてなかったからな。…嬉しいもんだな。」
上から私に甘える彼を見れたのもまた新鮮。
「鉄平がさっき言ったことがわかるような気がする。…私もそんな顔してたんだね。」
やっぱりたくさん撫でてもらおう。
それが愛情表現なんだから。