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黒子のバスケ*Short Stories2

第8章 大人で余裕な彼*今吉*


日も落ちてきたので、そろそろ帰り道へ。

もうすぐ今日が終わってしまうことにどことなく寂しさを感じてしまう。

バイバイって言ってしまえば、明日からはまた主将とマネージャー時々恋人に戻ってしまう。

次の角を曲がればすぐに私の家。

名残惜しくて翔一と繋いだ手を離すことが出来ない。

翔一からも離そうとしないし、お互い言葉を口にしない。

困らせたくない。

私は腹を括って、少し高いところにある彼の顔を見つめた。

「…寂しいって思ってるやろ?」

またしても心を読まれてしまった。

でも、これはちゃんと認めよう。

「…寂しいよ。明日からまたしばらくこんな風に過ごせないもん。」

その瞬間、繋がれた手を彼の方に引かれ、力強く抱き締められた。

「しょうい…」

突然のことに驚き、見上げようとするとあの大きな手で頭を抑えられ、彼の胸元に顔を埋める形になってしまった。

「素直やな、は。…ワシも嫌やで?このまま帰したくないって思ってまう。」

顔を見ることは出来ないけど、きっとあのポーカーフェイスは崩れているんでしょ?

同じ気持ちでいてくれたことが嬉しくて胸がぎゅっとして熱くなった。

寮の門限の時間も刻々と近付く。

すると頭からするりと手が離れたので、私は彼の方を見上げた。

だんだん遠くにあるはずの彼の顔が近付いてきたので、思わず目を瞑ると唇が重なり熱を帯びた。

「ワシやっぱりが好きやで?」

少しだけ照れ臭そうに笑う彼はいつもとは違う顔。

しばらく今日の余韻に浸れそうです。
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