第5章 ボーイズトーク*緑間*日向*今吉
<今吉>
バスケコートを見るともう少しで前の試合が終わりそうになっていた。
「ワシ、ちょっとトイレ行ってくるわー。そろそろ時間やろ?緑間、悪いんやけど日向に声かけといてくれへん?」
「わかりました。」
日向の元へと歩いていく緑間の後ろ姿を見送り、今吉も歩き出す。
「…あんなの見てたら会いたくなるやん。」
その方向はもちろんトイレの方向ではない。
こっそり公園を出て、携帯電話を取り出す。
「あ、もしもしか?着いた?…わかった。そこにおってな。」
電話の相手とは、公園から少しだけ離れた交差点で待ち合わせをしていた。
「翔一!」
交差点にたどり着く前に、自分の名前を呼ぶ声が聞こえた。
「すまんのぅ、。」
頭にぽんと手を置くと、はにっこり笑顔を見せた。
「ううん。家近いし大丈夫だよ?タオル忘れちゃったの?」
はい、とタオルとポカリが入った紙袋をは今吉に手渡した。
「汗かきすぎて使えんくなったんや。替えを忘れてもうた。」
今吉がタオルに顔を埋めると、いつも彼女からする香りと同じ香りがした。
「なんか今日翔一楽しそう。」