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黒子のバスケ*Short Stories2

第49章 傍にいるから*宮地*


WCで洛山高校に敗れて、皆で涙したあの日。

試合に負けた涙が引いたと思えば、今度は3年生の引退という現実でまた涙が溢れた。

私と彼を繋いでいたものが、消えてなくなってしまった。

帰り道も俯き沈んだままの私を、彼は困ったように眉を寄せて眺めていた。

「…まだ落ち込んでんのか?」

「だって…今までみたいに一緒に部活やれないし、清志先輩との時間が少なくなっちゃうじゃないですか…。」

清志先輩は部活を引退するけど、大学は推薦で決まっている。

まだ2年生の私は、あともう1年マネージャーとしてバスケ部に残る。

もちろん部活は楽しいし好きだけど、清志先輩のいない日常は想像できないほどモノクロで寂しい。

すると、隣の清志先輩は呆れ顔を浮かべていた。

「バカか、お前は。轢くぞ。」

「…轢かれたら私ペラッペラになります。」

「なるか!…あのな、時間無くなるなら作ればいいだろ。…俺もお前といたいし。」

突然の甘い言葉に驚いて思わず見上げれば、清志先輩はそっぽを向いてしまっている。

でも僅かな頬の赤らみが目に入って、私だけが寂しいわけじゃないという確信が持てた。

「…ふふっ。」

「何が面白いんだよ。」

「違いますよ。…同じなんだなって思って嬉しいんです。」

私の頭をぽんぽんと撫でてくれる手の感触に、私はまた頬を緩めた。
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