第48章 Merry Christmas!2013*伊月*
「もちろん喜んで!…嬉しい。」
「よかった…。いつも部活ばっかりだし中々デートも出来ないからさ、クリスマスくらいはにお返ししたかったんだよ。」
ちゃんと私が「寂しい」って思ってたこと、気付いてくれていた。
自分の方が大会真っ最中で大変なはずなのに、私のことを気遣ってくれる優しさに心が震えた。
「そんなのいいのに…。」
「いいんだよ。今日はがやりたいことしようか。何かご希望はありますか?」
何だかお姫様扱いされているみたいでくすぐったい。
思いを巡らせて、少し考えて出した結論は。
「私、俊くんとゆっくり過ごしたいな。」
あまりにもシンプルなお願い事に、彼は目を丸くした。
「それだけでいいの?」
「うん。話したいこともいっぱいあるから。」
「…は俺に甘すぎ。もっとワガママ言ってくれていいよ?」
そんなこと言うから、クリスマスの魔法の力を借りて、照れ屋な彼に私は少し大胆なお願いをした。
私がポツリと呟くと、彼は顔を真っ赤に染めて少しの間俯いた。
すると、私の手を引いてさっき夜景を見ていた手すりのところまで導かれた。
側にあった大きな木の陰で、彼は私の頬に両手を添えて優しく唇を重ねてくれた。
久しぶりのキスは冷たい唇が触れたはずなのに、私の頬を熱くした。
「…キスしてほしい。」
そんな私の我が儘を叶えてくれる彼の方こそ、私に甘い。
これから愛しく暖かいクリスマスが始まる。