第46章 Merry Christmas!2013*紫原*
そこには駅前のデパートで毎年催されているクリスマスイルミネーションが広がっていた。
電飾で彩られた建物やトナカイやサンタクロースの飾りが眩いほどの輝きを放っていた。
「うわぁ…。すごい…。」
「きれいだねー。絶対ちん見たことないと思って。」
そうか。
毎年このイルミネーションがやっているとはいえ、私と敦はお互いスポーツ推薦で秋田に来た。
初めての感動を、彼からプレゼントしてもらえた。
「敦、連れてきてくれてありがとう。…嬉しい。」
「よかったー。…あ、雪。」
「え?あ、本当だ。…今日道理で寒いはずだね。」
はらはらと雪が空から舞い降りて、たちまち幻想的な雰囲気に変わった。
「…くしゅん!」
彼の何だか可愛らしいくしゃみが聞こえてきたので、私は紙袋からプレゼントを取り出して、ラッピングをほどいた。
「敦、屈んでくれる?」
素直に私と目線が同じ位置になるまで屈んでくれた彼の首に、そっとあのマフラーを巻いた。
「私からのクリスマスプレゼント。少し暖かくなったかな?」
「うん。この色俺好きー。ありがとう、ちん。」
彼が身に付けているのは淡いグレーとラベンダー色のボーダーのマフラー。
イメージ通りその色がとてもよく似合っていて、彼も気に入ってくれている。
よかった、という安堵感から、私は自然と顔が緩んだ。
「じゃあ、ちんにはこれあげるねー。目つぶってて。」
そう言うと、私のマフラーが外され、代わりに首もとに何かが触れた。
いいよ、と言われて目を開けると、首にはきれいな星のチャームがついたネックレスが光っていた。
「可愛い…!ありがとう、敦…。」
「ケーキにしようかと思ったんだけど、食べたらなくなっちゃうでしょー?それ、俺の代わりに付けててねー。」
「うん。敦も私の代わりにそのマフラー東京に連れていってね。」
降り続ける雪と光輝くイルミネーションの中、また二人で手を繋いで歩き始めた。
今日は私たちだけへのホワイトクリスマスになった。