• テキストサイズ

黒子のバスケ*Short Stories2

第45章 12月20日*赤司*


「征ちゃん…。」

そこにいたのは、明後日東京で会う予定の彼女だった。

ピンク色のカーディガンに黒字の小花柄のワンピースを纏う彼女は、変わらず愛らしく、少しだけ大人びたような印象を受けた。

「…どうしてここに?」

彼女がいる、ということを実感できずに、頬に手で触れると、彼女少し照れくさそうにはにかんだ。

「…やっぱり誕生日は一緒に過ごしたくて。前からお母さんにお願いはしてたの。」

「言ってくれれば時間を空けたのに…。」

「びっくりさせたかったんだ。…迷惑だった?」

「そんな訳ないだろう。」

目の前の彼女の腕を引き、腕の中へと収めた。

久しぶりに触れるからか、前よりも彼女を少し小さく感じた。

抱き締めるとこんなに柔らかく、暖かく、花のような優しい香りがするものなのか。

「征ちゃん、何だか前よりも逞しくなった?やっぱスポーツマンだなぁ…。」

「いざという時にを守らないといけないからね。」

「ふふっ…。相変わらず上手なんだから。」

腕の中でくすくす無邪気に笑う顔もあどけなくて好きなんだけど。

「ところで、まだ直接聞いてないよ?」

自分で手紙に書いていたように、やっぱり会えたことへの興奮が先走っているようだ

「あ!そうだったね。…お誕生日おめでとう、征ちゃん。…大好き。」

電話よりも、手紙よりも、やはり隣で直接言われる「おめでとう」は格別だった。

「ありがとう、。…愛してるよ。」
/ 323ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp