第43章 キスだって左利き*緑間*
いつも丁寧にテーピングが巻かれた左手。
バスケをする時以外は守られているその手は、あまりにも大切にされている。
彼の手は指が長くて大きくて綺麗だな、ってふと思う。
その手で器用にパスタを巻いている目の前の彼を、思わずじっと眺めてしまった。
「、俺の顔に何かついているのか?」
視線に気付いた彼が手を止めて、私の方を不思議そうに見つめている。
「あっ…ううん!違うの。…左利きってなんか皆と違っていいなと思って。」
「そうなのか?物心ついた時からこうだったから、あまり自覚はないのだよ。」
「左利きの人って頭の回転早いって言うよね。真ちゃん見てると、やっぱりなって思う。」
「俺は人事を尽くしているだけなのだよ。例え生まれもっていたとしても、それに甘んじるつもりはない。」
相変わらず自分に厳しいな。
でもそういうストイックなところ、実はこっそり尊敬している。
「他の人とどこか違う」なんて、恋をする人はみんな言い張ると思うけど、私も確かに感じるよ。
真ちゃんは、特別。