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黒子のバスケ*Short Stories2

第42章 ぬくぬくしたい*木吉*


WCも幕を閉じ、新しい年を迎えて、バスケ部も年明けは3日までお休み。

「じーちゃんとばーちゃんが、年始旅行でいないんだけど遊びに来るか?」

と、誘われたのは部活の皆で年越しをして初詣をした時だった。

私も家での用事を済ませ、3日に彼の家にお邪魔した。

「…鉄平、花札強すぎでしょ。」

「当たり前だろ!入院中の成果だからな。」

ずっと前から一緒にやろうって言われていた花札をこの機会に教えてもらってやってみるけど…やっぱり強くて敵わない。

悔しくてしかめっ面をしている私の頭に、彼はポンッと手を置いた。

「、散歩でも行かないか?ジュース買ってやるから、な。」

まるでいじけた子供をあやすかのように物で釣ろうとしてくるのにはちょっとムッとしたけど、結局私も単純で。

「…ココア買ってね。」

「わかった、わかった。」

外へ出ると、ひんやりとした空気が肌に刺さる。

お正月休みだからか、人気があまりなくて何だか静か。

何だか二人だけの世界みたい、なんてね。

お互い手袋をした手で、指を絡ませる。

確かに手袋してるから暖かいんだけど…何か違う。

「、どうした?難しい顔になってるぞ?」

違和感の招待に気付いていたけど、気恥ずかしくて素直に言えなかった。

「手が暖かいんだけど、暖かくない…。」

鉄平はきょとんとした表情で少し考え、自分の右手の手袋を外した。

そして私の左手を持ち上げ、左手の手袋を取った。

それから、さっきと同じように指を絡ませた。

鉄平の大きな手から心地よい温もりが伝わってきた。

うん、やっぱりこうでなくっちゃ。
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