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黒子のバスケ*Short Stories2

第37章 不器用な君と/笠松*宮地


<笠松>

全国区のバスケ部キャプテンの彼。

当然、皆が休みの時に休みになるなんて滅多にない。

それは付き合う時からわかっていたし、結局毎日学校で会えている。

しかもこうして稀な休日を私と過ごす時間にしてくれているから、何とも幸せ。

私服で彼と並んで、何回も来たことがある街を歩く。

たったそれだけなのに、景色が全く違って見えるのは何でだろう。

「。」

隣を歩く幸男が、不意に私の名前を呼んだ。

「ん?」

「…その、今日いつもと違うな。」

「だって久しぶりのデートだもん。気合い入っちゃうよ。」

女の子ですから。

しかもデートとなれば、服装にもメイクにも髪の毛ですら気をより一層遣う。

「…いいんじゃね?」

そう言って、顔を真っ赤にしてそっぽを向く幸男は本当に可愛い。

一言褒めるだけで、こんなにも照れてくれるなんて。

真っ直ぐで体育会系の普段の姿とのギャップをこんなに近くで見られるのは私だけなんだろうな。

「…笑ってんじゃねぇぞ。」

おでこにごつん、と幸男の痛くないげんこつが入った。

すると、幸男がお店の前で足をぴたりと止めた。

「あ、ここ入っていいか?」

「うん。」
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