第4章 一枚上手*赤司*
久々の休日。
彼女がずっと行ってみたいと言っていたカフェへ足を伸ばした。
ケーキが彼女の元へ運ばれて、それを瞳を輝かせて眺める姿を見ると、ここへ来てよかったと実感する。
一口一口噛み締めるようにケーキを口にする彼女の姿が、子供の頃と重なった。
「征ちゃん。」
昔から変わらぬ呼び名で僕を呼ぶ彼女は、小首を傾げて僕の方を見つめていた。
「どうしたの?さっきからぼんやりしてるけど。」
気付くと彼女のケーキは半分ほどなくなっていた。
「あぁ…。は変わらないなと思ってね。」
「え?それ、どういうこと?」
「言葉の通りだよ。は昔から変わらない。」
すると、はフォークを置き、納得できないといわんばかりに眉間にシワを寄せた。
「…私だって大人になったもん。」