第35章 12月3日*水戸部*
次に目に光が飛び込んできた時、彼は私の耳元でそっと囁いた。
「…誕生日おめでとう。」
はっと我に返り、時計を見ると短針は12を越えていた。
つまり今日は日付が変わって、12月4日。
彼は引き出しを開けて、私に小さな箱を差し出した。
「…プレゼント?開けてもいい?」
こくり、と首を縦に振ってくれたので、リボンをそっと解いていった。
箱を開けると、私のイニシャルの小さめのトップがついたネックレス。
「可愛い…。ありがとう!大切にするね!…付けてみようかな。」
思いがけないお祝いに、嬉しさが込み上げて自然と笑顔になった。
彼はネックレスを手に取り、私の背後に回り、後ろから金具を留めてくれた。
体の向きを変えて、彼に尋ねた。
「似合う?」
満足そうに私を見つめるその目で、似合っていることは一目瞭然だった。
誕生日になった瞬間に、大好きな人から「おめでとう」してもらえるなんて。
「凛くん…ありがとう。…幸せだなぁ。」
もしかして、彼が家でのパーティーを希望したのって。
何度もお祝いしてもらったけど、日付が変わった瞬間に一緒にいたのは今年が初めて。
彼はもう一度私を優しく抱き締めて、私の額と彼の額を合わせた。
そしてもう一度だけ、声を聞かせてくれた。
「の誕生日に直接一番におめでとうってずっと言いたかったんだ。」
隣同士の誕生日だからこそ、幸せな日が2日間。
凛くん、お誕生日おめでとう!
そして、次に私もおめでとう!