第29章 君の一番になりたいんだ/黒子*桜井
「だろうな。…まぁ、わかっててやったんだけど。じゃ、俺部活行くわ。あとは、ごゆっくり。」
にやりと口元に悪戯な笑みを浮かべて、青峰さんは屋上を出た。
残された僕とさんの間に妙な沈黙が流れる。
すると口火を切ったのは彼女からだった。
「桜井くん…、さっきの本当?」
顔を真っ赤にして、か細い声で尋ねてくれた勇気を無駄にしたくない。
「本当だよ。僕、さんが好きなんだ。」
君が誰かと笑っているだけで、胸が苦しくて。
君の隣にいる誰かを羨み妬んでしまうほど。
「…うん。私もね、桜井くんが好きなの。一人占めしてもいい?」
それは僕の台詞だよ、と言葉にする前に、僕は彼女の両手を握った。
「勿論です。…僕はずっと君の一番になりたかったんだ。」