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黒子のバスケ*Short Stories2

第29章 君の一番になりたいんだ/黒子*桜井


<黒子>

毎週月曜日はミーティング。

来週末に控えたWCの予選に向けて、スカウティングをすることになっていた。

リコ先輩にDVDとデッキを準備しておくように頼まれていたので部室へと向かっていると、テツくんに後ろから声をかけられた。

「、DVD取りに行くんですか?良かったらお手伝いさせてください。」

「え、いいの?ありがとう!」

テツくんのこういう然り気無く私のこと見ててくれるところ、好きだなぁ。

部室の扉を開け、DVDとデッキが入った段ボールを探す。

「あ、あれですね。」

そう言ってテツくんが指差した先は、ロッカーの上の荷物のそのまた上。

155cmの私と168cmのテツくん。

手を伸ばしても届くはずがない。

「…あのベンチ動かそうか。」

いかにも重たそうなベンチを二人で持ち上げようとした時、部室の扉が勢いよく開いた。

「ん?お前ら何やってんだ?」

そこには見知った赤髪長身のチームメイトが立っていた。

「火神くん!…そっか。いいところに来た!」

事情が飲み込めていない火神くんに困っていることを伝えると、すっと腕を伸ばしてあっさり段ボールを手に取った。

「これ持っていけばいいのか?」

「火神くん、運んでくれるの!?ありがとう!」

かなり重たいであろう段ボールを軽々持ててしまうのは、さすがのパワー自慢。

前を歩く火神くんの背中を見ながら、こっそりテツくんに囁いた。

「ふふ、何かラッキーだったね。」

「…ん?…あぁ、そうですね。」

テツくんは何か考え事をしていたみたいで、少し遅れて私の声に気付いた。

珍しいな。

いつも私の話、きちんと聞いてくれるのに。



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