• テキストサイズ

黒子のバスケ*Short Stories2

第28章 11月21日*高尾*


彼の表情は、私が予期していたものとは違っていた。

顔を真っ赤にし、目を見開き、口をぽっかり開けて立ち尽くしていた。

「…行ってやるのだよ。」

心なしか口許を緩める緑間くんに背中を押されて、私は玄関から外に出て彼の元へと走った。

「和成!お誕生日おめでとう!!」

彼の隣にたどり着き、用意していたプレゼントをはいっ!と差し出した。

私の顔を見るなり、彼はぱっと明るい笑顔を咲かせ、プレゼントごと私をぎゅうっと強く抱き締めた。

「ちゃん…、反則だって、こんなの!」

「だって、和成の誕生日を一番に会ってお祝いしたかったんだもん。」

彼が指差したのは、いつも使っているチャリアカー。

リアカーの中は「Happy Birthday!」と書かれた模造紙が貼られ、色とりどりの造花で彩られている。

斜め上の彼の顔をちらりと見れば、照れくさそうな、でもとても嬉しそうな笑い顔。

よかった、私が一番好きな顔してる。

「もー…、朝だから気ぃ抜いてた…。ヤベェ、めっちゃ嬉しい…。ちゃん、ありがとな!」

腕の中の私の頭をくしゃくしゃと撫でて、頬にキスをしてくれた。

彼の誕生日なのに、私まで幸せをおすそわけしてもらったみたい。

/ 323ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp