第28章 11月21日*高尾*
私の誕生日や記念日、クリスマス。
イベントの度に何かしらサプライズしてくれる彼。
その度に目を丸くさせられて、幸せな気持ちにしてくれた。
そんな彼の誕生日に、今までたくさんプレゼントしてくれた幸せのお返しをしたい。
どうしたら喜んでくれるかな。
どうしたら驚いてくれるかな。
どうしたらあの向日葵みたいな満開の笑顔が見られるかな。
彼のことを思いながらの準備は、とても嬉しくて何だかほんのり幸せで。
大したことは出来ないけれど、誕生日を素敵な一日にするからね。
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11月21日、朝6時25分。
バスケ部レギュラーの彼は毎日朝から練習で、一日の始まりが早い。
私はバスケ部じゃないから、朝は一緒に登校していない。
それなのに、こんな早朝からこっそり物陰から外を見つめる私。
そろそろここにお迎えに来るはず…。
「何で俺まで付き合わないといけないのだよ。」
「緑間くん!もっと屈んで。和成に見つかっちゃう…。」
緑間くんの家の玄関から、そっと外の様子を窺う。
今回の計画は緑間くんの協力なしでは成功なんて有り得ない。
緑間くんは彼を通じて話すようになり、今回私の我が儘なお願いを渋々ながら了承してくれた。
怖そうに見えるけど、いい人。
私の彼は友達も多いから、学校に着けば皆から「誕生日おめでとう!」ってお祝いされると思う。
だから、せめて、誰よりも先に会って「おめでとう」って伝えたいの。